ICU(国際基督教大学)の入試は、A方式・B方式があります。
募集定員は、A方式290名・B方式10名です。
今回は、A方式の入試対策および入試に向けて偏差値アップのポイントについて解説したいと思います。
目次
ICU(国際基督教大学)A方式:入試科目について
試験は、三科目です。
また、以下は科目ごとの配点です。
・英語(リスニングを含む) 90点
・総合教養(ATLAS) 80点
・人文社会科学 または 自然科学 80点
では、それぞれの科目ごとに解説いたしましょう。
英語入試対策のポイント
ICU(国際基督教大学)のA方式の英語の入試問題は、リスニングとリーディングに分かれています。
リスニングの出題傾向
試験時間30分の中で、三部構成(Part I 〜Part III)で出題されます。
Part I は、短い会話(✖10)、PartIIは長めの会話(✖2)、PartIIIは2~3分の長さの講義(✖2)を聞きます。
問題は、それぞれ10問ずつです。
また、すべての問題が“4つの選択肢”の中から正解を選ぶ形式になっています。
問題では、大学生活でよく見られる会話のシーンが出てきます。
例えば、学食のメニューについてのシーンや、講義内容について教務課に確認するシーン。
さらには、教授に個別面談の申込みをするといったシーンなどです。
Part IIIで話されている講義の内容は、大学の一般教養レベルくらいです。
しかし、社会・歴史がテーマの人文だけでなく、自然・宇宙などの科学からも出題されています。
このことから、あなたが(ICUに合格した後の)英語環境下で、円滑に学生生活を送ることができるかどうか?が試されていると考えられます。
リスニング問題の特徴
以下の点に注意しておきましょう。
・一般のリスニング問題によくある“プロが話すきれいな音声”ではありません(一般人が話す“普通”の英語です)。
・スピーキングのスピードは、一般のリスニング問題よりも早いです(しかしこれは、現実の英会話のスピードと言えます)。
・音声は、一回しか流れません
「リアルな英会話を、一回で聞き取れる」実用に耐えうるリスニング力が求められています。
Part IIIの講義は、読解で出題されるくらいの内容となっています。
おそらく、リスニングのレベルは私大では一番難しく、国立の東京外語大と双璧をなすものと思われます。
また、この出題の特徴というのは、他の大学入試リスニング問題や、英検・TOEICにはあまり見られません。
わりと、TOEFLと似ていると思います。
ですので、TOEFLのリスニング対策はICUのリスニング対策に有効です。
ちなみに、TOEFLは英検準1級に合格できるくらいの英語力が前提とされ、英語が得意な大学生でも苦労する内容です。
このことからも、ICUの英語リスニングがいかに難しいかが推測できると思います。
リーディングの出題傾向
試験時間60分の中で、二部構成(PART I・PART II)で出題されます。
PART Iでは、三つの英文が出題されます。
それぞれ1,000語程度の文章です。
各英文につき、8問ずつ出題されます。
PART Iは、おもに読解力を問われる問題と言えます。
語彙は、英検準1級レベルです。
しかし、問題文が長いので、それ以上に難しく感じられるかもしれません。
とはいえ、問題文と選択肢を照合すれば正解は必ず得られます。
問題数も多いですから、いかに素早く正確に解答できるかがポイントになります。
つぎに、PART IIでの問題文はひとつだけです。
こちらも1,000語程度の文章ですが、PART IIは空欄補充形式の出題になります。
問題文の流れを把握したうえで、文脈に適した文法・語法についての問題が12問出題されます。
リーディングは、60分間で1,000語程度の文章を4つ読んで、36題の選択肢問題を解くことになるため相当なスピードが要求されます。
英検準一級レベルの語彙の意味・イメージが瞬時に頭に浮かばないと素早く解答することはできません。
また、単語暗記にとどまらず、それを長文読解の中で正確に読み取る訓練も必要です。
英語入試対策まとめ
リスニング・リーディングともきわめてレベルの高い内容となっています。
私の知るかぎり、国内の大学では東京外語大と並んで最も英語の難しい大学です。
語彙レベルは準1級ですが、リスニングはプロのナレーターが読むようなきれいな英語ではなく、普通の人の話す日常英語が一回だけ、リーディングは問題文の長さが1,000語程度ということを考えれば、準1級の試験よりも難しいといえます。
また、先にもお伝えしたとおり、出題傾向が他大学の英語の問題などよりはTOEFLの問題に似ています。
ですので、TOEFL参考書や問題集に取り組むことがICU(国際基督教大学)の英語の入試対策として効果があります。
総合教養(ATLAS)
ICUのホームページでは、以下の説明があります。
「ATLASとは、Aptitude Test for Liberal ArtSの略で、文系・理系にとらわれないリベラルアーツの「世界地図(アトラス)」をプレビューすることによって、ICUの教育への適性を判断するものです。」
PART Iでは、15分間の講義を聞き、その内容について回答します(択一式が10問)。
ふたたび、ICUのホームページに記載されている以下の説明をご覧ください。
「ICUの授業の疑似体験を通して迅速かつ的確な判断力、論理的な思考力、これまでに学んできた知識や考え方を柔軟に問題解決に応用する能力等を評価します。」
問題形式は「聞く」読解問題となります。
読まれる内容は、大学の教養の講義で想定されるような内容で突飛なものはありません。
ですが「聞く」形式には、ある程度慣れておく必要があります。
つぎに、PART IIでは3,000字程度の文章が三題出題されます。
それぞれ10問ずつ、択一式の問題に解答します。
問題文は概ね、人文(文化・歴史)、社会(社会情勢・経済等)、自然科学の各分野からひとつずつ出題されます。
自然科学の出題では、数学的内容の出題もありますが、一般教養的な意味合いが強く、中学数学で解けるような問題です。
人文・社会に関しては、センター試験の国語の論説文(大問一)と類似しており、レベルも同じくらいです。
選択肢読解の基本ルールである“問題文と選択肢の照合作業”をこなすことができれば、高得点を狙うことができます。
人文・社会
特徴的なのは、問題用紙8ページにおよぶ非常に長い文章が一題与えられることです。
文字数にすれば一万字を超えるような長さになります。
内容は、大学の授業のテキストに書いてあるようなものです。
その長文に対して、選択肢問題が42題出題されます。
しかし、試験時間は80分あります。
センター試験と比べても考える時間は与えられていますので、落ち着いて解答しましょう。
問題では、地理・歴史・時事問題等、高校社会の知識が問われることもあります。
しかしそれは、全体の三分の一くらいです。
しかも“常識問題”のレベルと言えるでしょう。
では、残りの三分の二はどんな問題か?というと、実は「読解問題」なんですね。
人文・社会をテーマにしながらも、問われているのは大学国語入試における読解力です。
ただ、こちらも難解なものではなくセンター試験レベルの問題です。
人文・社会を選択した場合、総合教養と併せて読解力が問われる比重が極めて大きくなります。
ICU(国際基督教大学)について、および入試制度や過去問など、さらに詳しい情報をお知りになりたい方はICU(国際基督教大学)ホームページをご参照ください。
https://www.icu.ac.jp/admissions/undergraduate/exam/general/