これは国税庁のホームページに掲載されている所得税の速算表です。

所得金額が上がるにつれ、税率が5%から45%まで増加していきます。なるほど、公平な税制が実施され、財政のもつ所得の再分配機能も発揮されているように思えます。

ただし、我々国民の所得や給与から控除されるものは所得税(国税)だけではありません。住民税(地方税)や社会保険も控除されます。住民税は累進課税ではなく、一律に所得金額の10%が課税されます。さらに、社会保険には上限があり、年収が1200万円を少し超えたあたりでそれ以上課税されなくなります。おどろいたことに逆進課税となっているのです!

所得から引かれるものを全部考慮して所得階層別に限界税率を計算すると以下のようになります。何と年収が1000万円に達したところで税率は50%を超えますが、1243万円以上1900万円未満では43%にまで低下しています。日本の累進課税は年収1000万円まで、それから先はだいたい半分が国に持っていかれることになっています。

年収(万円)

所得税 住民税 社会保険 限界税率(合計)
43 0% 0% 9% 9%
100 5% 10% 9% 24%
295 10% 10% 9% 29%
430 20% 10% 9% 39%
795 23% 10% 9% 42%
1000 33% 10% 9% 52%
1050 33% 10% 7% 50%
1243 33% 10% 0% 43%
1900 40% 10% 0% 50%
4100 45% 10% 0% 55%

なお、所得金額計算で控除できる金額は所得税・住民税で100万円、社会保険で43万円としています。また、社会保険料は国民健康保険料の税率を想定していますが、地域差があり、また介護分(40~64才)を含んでいます。

おおまかな話でいうと、日本の累進税制は年収1千万円まで。それを超えると富裕層としてほぼ一律に半分がとられてしまう制度になっています。